SEMICON SHINBUN / TECHNICAL NOTE
ダイオードの向きはどっち?――記号の棒・帯・アノードとカソードの見分け方
ダイオードの記号の棒はカソードK、順方向の電流はAからK。上下左右に回転した回路図、実物の帯、LEDの矢印まで、向きを取り違えない読み方を整理する。
セミコン芯聞 編集部 / 公開資料に基づく技術解説
ダイオードの向きに迷ったら、まず記号の棒を探す。通常の整流ダイオードでは、棒のある端子がカソードK、反対側がアノードAで、順方向の電流はAからKへ流れる。ただし、Kが常に電源のマイナス側という意味ではない。「端子の名前」と「いま加わる電圧」を分ければ、記号が回転しても読める。本稿は内部構造の詳しい説明より、回路図と実物の向きを対応させる入門ガイドである。
最短の見分け方は「棒がK、反対がA」である
一般的な整流ダイオードの図記号には、三角形状の部分と、その先に接する一本の棒がある。この棒側をカソード、反対をアノードと呼ぶ。回路図の左右ではなく、この二つの形の関係で判定する。棒が右なら右がK、記号を反転して棒が左なら左がK、縦向きなら上または下の棒側がKになる。記号の横にA・Kを書き込むと、見た目に引きずられにくい。
順方向の電流を表す矢印は、AからKへ描く。図記号の棒は「そこで電流が止まる壁」ではない。順方向に導通しているときは、電流がA端子から入り、K端子を通って回路の先へ出ていく。紙面の右向きを暗記せず、AとKを確定してから電流の向きを置くのが順序である。
ダイオードは、流れやすい向きがある半導体素子
ダイオードは、二つの端子間に加える電圧の向きによって電流の流れやすさが大きく変わる素子である。Aの電位がKより高く、十分な順方向電圧が加われば、AからKへ電流が流れる。反対の極性では通常は大きな電流を通しにくい。この性質を整流や逆流防止に利用する。
実物は理想的な一方通行弁ではない。順方向には電圧降下があり、逆方向にも漏れ電流がある。逆電圧の定格を超えてよいわけでもない。また、向きが合っていても回路が閉じていなければ電流は流れず、電源へ直接つなげば過大な電流になりうる。電流制限も含めて回路を読む必要がある。
アノードは「いつでも+」、カソードは「いつでも−」ではない
端子名A・Kは部品に固定されるが、電圧の高低は回路の状態で変わる。AがKより高い状態が順方向、KがAより高い状態が逆方向である。逆向きの電圧を加えても端子名が入れ替わるわけではない。両端子がどちらもGNDより高い場合でも、比べるのはAとKの電位差である。
交流の半波整流では、同じ向きに取り付けたダイオードが、入力の極性に応じて導通と遮断を繰り返す。図を読む際は、まず注目する瞬間の電源極性を書き、次にAとKのどちらが高いかを比較する。回路図の電流は慣用電流であり、金属配線中の電子の移動方向とは逆である。方向確認の途中で両者を混ぜない。
実物の帯は手掛かり、最終確認は端子図
円筒形のリード付き整流ダイオードでは、本体の帯がカソード側を示すものが多い。図記号の棒と実物の帯を対応させると分かりやすい。ただし、すべての外観マークを帯と同じ意味だと決めつけてはいけない。東芝の端子識別FAQも、製造時のくぼみがカソードマークとは無関係な例を示している。
表面実装品や複数のダイオードを収めた製品では、型番に対応するデータシートの外形図、端子番号、内部接続図を照合する。Top viewとBottom viewでは見える向きが逆になる点にも注意する。基板の印刷だけと見比べるのではなく、部品の端子番号まで一致させる。外観が似ていることは、同じ端子配列の証拠にはならない。 部品を回しても端子の役割は変わらないため、回路図と部品図を同じ向きにそろえるより、番号とA・Kの対応を先に確定するとよい。
LEDの小さな矢印は、電流ではなく光の向き
LEDもAとKを持つが、図記号の外へ向かう小さな矢印は発光を表す。ここを電流方向だと読まない。電流の順方向は基本となるダイオード記号のAからKで判定する。ツェナーやショットキーではカソード側の線の形が変わるため、一本の直線だけを探す方法をあらゆる種類へ機械的に当てはめない。
最後に三問で確かめたい。記号を上下反転してもKを指せるか。Aが電源のマイナス側に接続されていても端子名を変えずに読めるか。LEDの発光矢印と電流を区別できるか。この読み方は、回路設計や実装関連の職務説明を理解する土台になる。PN接合や空乏層から一方向性を知りたい場合は、関連する既刊の原理解説へ進むとよい。
本記事は記事末尾に掲げた公開資料のみを参照しています。特定企業・顧客の非公開情報は使用していません。